越境・擁壁・私道物件…戸建売却でトラブルになりやすいリスクについて

不動産売却コラム

不動産の売却では、「いくらで売れるか」という点も重要ですが、売却途中や契約後にトラブルにならないかという点を重視しなければなりません。

特に、戸建売却では、価格や引渡時期よりも、境界・構造物・権利関係といった“見えにくいリスク”が原因でトラブルになるケースが少なくありません。

なかでも、越境、擁壁、私道に関する負担は、居住中は問題なく使えていても、売却時の調査で初めて顕在化しやすい論点です。

このブログでは、戸建売却で特にトラブルになりやすい「越境」「擁壁」「私道物件」の3点について、整理したいと思います。

越境 ― 境界を「感覚」で判断すると必ず問題になる

越境とは、建物や構造物、樹木の枝や根などが、敷地境界を越えて隣地に入り込んでいる状態を指します。実務で多いのは、屋根の軒先、雨樋、ブロック塀、基礎部分の一部が越境しているケースです。

民法では、樹木の枝や根が越境した場合の取り扱いが明確に定められており、枝については隣地所有者が切除を請求でき、根については自ら切り取ることができるとされています(民法233条)。また、建物を境界線近くに建てる場合の距離制限も規定されています(民法234条)。

これらは「長年問題なかったから大丈夫」という感覚的判断が通用しないので、注意が必要です。

売却実務で問題になるのは、越境の存在そのものよりも、越境の有無を確定させないまま売却を進めてしまうことです。境界標が不明確な土地や、古い塀を境界だと思い込んでいるケースでは、買主側の調査や確定測量で初めて越境が判明することがあります。この場合、売主は契約不適合責任を問われ、是正や条件変更を求められる可能性があります。

実務対応としては、売却前に確定測量を行い、越境がある場合は事実を開示したうえで、是正・撤去を行うのか、覚書等で将来対応を整理するのかを判断します。隣地所有者との合意形成が必要になるため、内容の整理については専門家による確認が必要です。

擁壁 ― 安全性と法適合性の両方が問われる

高低差のある土地では擁壁の存在が売却に大きく影響します。擁壁は土砂崩れを防ぐ重要な構造物であり、老朽化や不適切な施工があると、地震時などに倒壊する危険性があります。国土交通省も、宅地擁壁の不安定化が重大事故につながる可能性を指摘しています。

売却時に問題になるのは、擁壁がこの基準に適合しているかどうかを説明できる資料があるかという点であり、実務では、次のような点が争点になりやすくなります。

  • 擁壁の所有者・管理者が誰か
  • 確認申請図面や検査済証などの資料が残っているか
  • ひび割れ、はらみ、排水不良などの劣化が見られないか

これらが不明確なまま商談を進めると、買主から安全性への不安を理由に条件変更を求められたり、契約締結自体が見送られることも考えられます。

擁壁の安全性評価は専門的判断が必要になるため、資料が不足している場合や劣化が疑われる場合は、建築士等の専門家に確認が必要です。

私道物件 ― 「通れる」だけでは売却は難しい

私道に接道している戸建住宅は都市部を中心に多く存在します。問題は、私道に接していること自体ではなく、通行や掘削に関する権利関係が整理されていないことです。

建物の建替えや上下水道工事では、私道を掘削する必要が生じることがあります。この際、私道所有者の承諾が得られないと工事が進められず、将来的な利用に支障が出ます。

不動産実務では、通行・掘削承諾の有無が売却条件として問題になるケースがあり、主要な不動産情報サイトでも、私道物件では権利関係の確認が重要であることが繰り返し指摘されています。

住宅ローンに関しては、法令上、金融機関が通行・掘削の承諾書を必須とする規定は確認されていませんが、私道の権利関係が不明確な場合、担保評価や審査に影響する可能性があります。そのため、私道持分が登記されているか、通行・掘削に関する承諾が整理されているかは、売却前に必ず確認すべきポイントとなります。

権利関係の整理や承諾書の取得については、内容次第で法的影響が大きいため、司法書士等の専門家に確認が必要です。

まとめ

越境、擁壁、私道物件は、戸建売却で特に揉めやすい代表的なポイントです。共通しているのは、住んでいる間は問題になりにくい一方で、売却時の調査や説明段階で一気にトラブルが表面化する点です。

これらの問題は、感覚や慣習ではなく、事実確認と資料整備によってしか解決できません。売却前にリスクを把握し、説明できる状態を整えておくことで、売却トラブルの多くは回避できます。

判断が難しい場合や資料が不足している場合は、早い段階で専門家に確認することが、結果的に最も安全な選択となります。

京都市左京区・北区の中古マンション・新築一戸建て情報は「京都洛北不動産」
京都市全域・左京区・北区の売却査定・買取査定・不動産売却は「京都洛北不動産売却ネット」

メールでのお問い合わせはこちら
電話でのお問い合わせは「075-722ー0810」まで