早期売却、高値売却の可能性も!?既存住宅瑕疵保険付き中古住宅が売れやすい理由とは

不動産売却コラム

はじめに

中古住宅市場が拡大するなか、「既存住宅瑕疵保険付きの中古住宅」は、買主から選ばれやすい物件として注目されています。かつて中古物件には「不安」「リスク」といったイメージがつきまといましたが、インスペクション(建物状況調査)や瑕疵保険制度の普及により、安全性や信頼性を“見える化”できるようになったことが大きな転換点となりました。本記事では、既存住宅瑕疵保険付き物件がなぜ売れやすいのか、インスペクションとの関係や売却価格アップの可能性も含めて分かりやすく解説します。

既存住宅瑕疵保険とは

既存住宅瑕疵保険とは、中古住宅の売買において売買契約後に構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分(屋根・外壁など)に欠陥が見つかった場合、修繕費用の一部または全額を保険法人が補償してくれる制度です。適用には国土交通大臣指定保険法人(住宅保証機構・JIO・ハウスジーメンなど)による厳格な検査に合格し、かつ保険契約を締結していることが条件となっています。

この制度の最大の特徴は、中古住宅であっても“第三者の検査と保証”が付く点にあります。従来、不動産売買では売主が契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負いますが、中古物件の場合「築年数が古いため」「現状有姿での引渡し」という理由で責任追及が難しいケースも少なくありません。一方、瑕疵保険に加入していれば、売主・買主いずれかに落ち度がなくても、保険法人が補修費用を負担してくれるため、買主は安心して中古住宅を購入することができます。

保険期間は1年〜5年、補償限度額は500〜1,000万円が一般的。対象となる物件種別は戸建だけでなく、区分所有マンションにも広がっており、築20年以上の物件でも加入可能な場合があります。近年は中古物件の約3割程度が「インスペクション+瑕疵保険付」であるとも言われており、一定の品質基準を満たした“安心できる中古”として差別化したい売主にとっては、検討に値する制度と言えるでしょう。

インスペクションとの関連

既存住宅瑕疵保険に加入するためには、保険法人指定の建築士による建物状況検査、すなわちインスペクションを実施し、「劣化事象が保険基準内である」と判定されることが必要です。調査項目は主に以下の通りです。

  • 基礎・床下・屋根裏などの構造部のひび割れ・劣化
  • 雨漏り跡、シロアリ被害の有無
  • 外壁仕上げ材のズレ・浮き・破損
  • 給排水設備の漏水兆候など

この調査は目視中心で行われるため、非破壊検査で把握できる範囲に限られますが、「建物の状態を客観的に示すレポート」として大きな意味を持ちます。不具合が指摘された箇所は、補修工事を行ったうえで“再検査→適合→保険付保”という流れになるのが一般的です。

インスペクションとのセット運用によって、売主側には「隠れた瑕疵」を事前に把握し、トラブルを未然に防止できる、というメリットがあります。また、買主側は建物状態を事前に把握できるため、内見段階での不安が軽減され、成約判断が早くなる傾向があります。さらに2022年の宅建業法改正により、不動産会社は取引の際、“インスペクションのあっせんの可否”や“調査結果の説明”が義務付けられており、今後はインスペクション+瑕疵保険付き物件が増えていくと考えられています。

売却価格UPの可能性

「瑕疵保険付き物件は通常の中古住宅より早く高く売れる」と言われるのには、主に次の理由があります。

まず第一に、“安心という付加価値”を金額にのせやすい点です。中古住宅は新築に比べて性能への不信感を抱かれやすく、「もし雨漏りしたら……」「シロアリがいたら…」という心理的不安が価格交渉に直結しやすいものです。しかし、瑕疵保険が付いていれば「万一のときは保険が対応してくれる」という保証があるため、買主は値引きを迫らずとも安心して購入を決断できます。実際、首都圏や関西圏の中古住宅マーケットでは「保証付きは成約価格が3〜5%上がる傾向がある」とのデータもあります。

次に、販売ターゲットの裾野拡大効果も大きな強みです。近年、中古住宅購入者層は30〜40代の共働き世帯が中心となっており、「時間的・経済的なコストを抑えながら安心して暮らせる住宅」が求められています。インスペクション済・瑕疵保険付きという表示は、そうした層から見て“信頼できる住宅ブランド”のような役割を果たし、通常の中古物件との差別化に繋がります。

以上のことから、売主としては多少の検査費用や補修費用を負担してでも、保険付き物件として販売することで、結果的に総利益が上がる可能性も考えられます。

まとめ

既存住宅瑕疵保険は、中古住宅取引につきまとう「見えないリスク」を補償する制度であり、インスペクションによる検査とセットで物件の状態を“見える化”できる点が最大のメリットです。売主にとっては、建物の価値や信頼性を客観的に示す証明書として活用でき、結果として「他物件との差別化」「買主の安心感確保」「価格交渉力の向上」が期待できます。

中古住宅市場は今後ますます拡大していくと言われており、そうしたなかで“選ばれる中古”であるためには、安心材料をどのように提示できるかがカギになります。既存住宅瑕疵保険は、その第一歩として非常に効果的な選択肢です。売却を検討している方は、インスペクションとセットでの保険加入を前向きに検討してみる価値があるでしょう。

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