はじめに
「もっと高く売れると思っていたのに…」
不動産を売ろうと査定を依頼したものの、返ってきた金額が思ったよりも低くて驚いた。そんな経験をする方は少なくありません。家や土地は人生で最も大きな資産のひとつですから、査定結果に納得がいかないのは当然のことです。
しかし、不動産の査定額は感覚ではなく、あくまでも“市場で売れる可能性がある金額”として、明確な根拠に基づいて算出されています。裏を返せば、なぜ安くなってしまったのか、その理由を知ることができれば、適切な対策も打てるということです。
この記事では、不動産売却査定の基本的な仕組みから、査定額が想定より低くなる主な理由、そして売却成功のためにできる対処法までを、わかりやすく解説していきます。
不動産売却査定とは
不動産売却査定とは、対象となる土地・建物が市場でどれくらいの価格で売れそうかを不動産会社の担当者が評価することです。この査定結果は、実際に売り出す価格の参考となり、売却活動のスタート地点にもなります。
査定には大きく分けて以下の2種類があります:
- 簡易査定(机上査定)
登記情報や周辺データ、取引事例をもとに、現地を見ずに算出される概算の査定額です。
- 訪問査定(実査定)
実際に不動産会社の担当者が現地を確認し、建物の状態や立地条件などを加味して詳細な査定を行います。
査定額は、あくまでも「現時点での市場に出した場合の売却予想価格」です。確定価格ではなく、購入希望者の反応や市場状況によって変動する可能性があります。
不動産売却査定額が低くなる主な理由
査定額が想定を下回る場合には、いくつかの典型的な理由があります。
まず最も大きな要素は立地条件です。不動産において立地は価格を左右する大きな要因であり、駅から遠い、バス便しかない、商業施設や学校から離れているなどのマイナス要素があると、自然と評価は下がります。また、周辺の治安や騒音、近隣施設との関係も無視できません。
次に影響が大きいのが築年数と建物の状態です。築20年、30年を超える物件では、建物部分の価値がほとんど評価されないケースもあり、特に木造住宅ではその傾向が顕著です。さらに、外壁や屋根、室内の劣化が進んでいると、それだけで査定額が数十万円単位で下がることもあります。
マンションの場合は、建物の内部だけでなく共用部分の管理状況も査定に影響を及ぼします。たとえば、エントランスが汚れていたり、修繕積立金が不足していたりすると、将来的なリスクと見なされ、評価は厳しくなります。
加えて、周辺エリアで最近成約した物件が安値だった場合、その価格が基準になってしまうこともあります。査定は“過去の取引実績”に大きく左右されるため、たとえ自分の物件に自信があっても、近隣で似たような物件が安く売れていれば、同じように見られてしまうのです。
土地に関しても、形状や道路への接し方によって評価は分かれます。旗竿地のように奥まっていたり、間口が狭かったり、高低差が大きくて造成工事が必要な場合は、その分使い勝手が悪く、価格に影響が出やすくなります。
また、土地の境界が未確定であったり、再建築不可の条件がついていたりするなど、法的・技術的なリスクがある場合は、買主にとっても不安材料となるため、大幅に査定価格が下がることもあります。

不動産売却査定額が想定より低いときの対処法
「なぜこんなに安いの?」と感じたとき、売主としてできる対策は少なくありません。感情的になる前に、冷静に次のような対応を取りましょう。
1. 査定の根拠を確認する
まずは査定額の算出根拠を不動産会社に聞きましょう。「周辺の成約事例」「建物の劣化状況」「法的制限」など、根拠が明確であれば納得感も生まれます。曖昧な説明しかない場合は、その不動産会社の信頼性を疑ってもよいかもしれません。
2. 複数の不動産会社に査定を依頼する
1社の査定結果だけで判断せず、2〜3社ほどに査定を依頼するのが基本です。査定額は会社によって大きく異なることがあるため、相場感をつかむ意味でも重要です。また、高すぎる査定額を出す会社は「媒介契約を取りたいだけ」の可能性もあるため、注意が必要です。
3. 訪問査定を受ける
簡易査定では物件の状態や特徴が十分に反映されないことが多いため、訪問査定を依頼しましょう。丁寧に見てもらうことで、リフォーム履歴や日当たり、風通しなどのプラス要素が評価に反映されやすくなります。
4. 必要に応じて改善・整備を行う
建物の見た目や使い勝手に関わる問題は、軽微なリフォームや掃除、片付けで印象が大きく変わります。特にホームステージング(家具の配置や室内演出)などは、買主の心理に好印象を与え、実際の成約価格アップにもつながることがあります。
5. 査定額にとらわれすぎず、売出価格を調整する
査定額は「目安」であり、売出価格は売主が自由に設定できます。ただし、高すぎる価格設定は内覧数が減るなどのリスクがあるため、慎重に判断する必要があります。信頼できる担当者と相談し、相場と市場動向をふまえて価格戦略を立てましょう。
まとめ
不動産の査定額が期待を下回ったとき、多くの方が「もっと高く売れるはずだったのに」と落胆します。しかし、その金額には必ず根拠があり、その背景を理解することで、冷静に対策を講じることができます。
立地や築年数、建物の状態、周辺の取引事例など、査定額に影響する要因は多岐にわたります。大切なのは、それを一つずつ丁寧に把握し、自分にできる改善策を見つけていくことです。
「売却成功のカギ」は、査定額そのものではなく、その金額をどう受け止め、どう活かすかにあります。不安なときこそ、信頼できる専門家の力を借りながら、より良い売却につなげていきましょう。
京都市左京区・北区の中古マンション・新築一戸建て情報は「京都洛北不動産」
京都市全域・左京区・北区の売却査定・買取査定・不動産売却は「京都洛北不動産売却ネット」