不動産売却時のトラブルを未然に防ごう!「契約解除」と「瑕疵」について

不動産売却コラム

不動産取引は金額が大きいこともあり、トラブルが発生すると金銭的にも精神的にも深いダメージを受けてしまいます。トラブルを避ける意味でも、不動産売却時に頻出する問題を事前に把握しておくことは重要です。

今回は、「媒介・代理(売買)」の苦情・紛争相談の事例について、詳しく見ていきたいと思います。

苦情・紛争相談件数と内訳について

「平成30年度 宅地建物取引業法施行状況調査の結果※」によると、苦情・紛争相談件数は「売主(売買)」338件、「媒介・代理(売買)」364件という数字になっています。

※国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 不動産業指導室の発表資料

その中で、「媒介・代理(売買)」の苦情・紛争相談件数上位5項目は次の通りです。

  • 「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)135件(37.1%)
  • 「報酬」(高額報酬の請求含む)44件(12.1%)
  • 「媒介に伴う書面の交付」38件(10.4%)
  • 「契約の解除」(ローン不成立による解除も含む)35件(9.6%)
  • 「瑕疵問題」(瑕疵補修を含む) 20件(5.5%)

売主(売買)の場合と同じく、「重要事項の説明等(重要事項の不告知を含む)」に関する苦情・紛争相談が最も多く、続いて、「報酬(高額報酬の請求含む)」と「媒介に伴う書面の交付」という媒介・代理という取引形態の特徴とも言えるものが上位を占めています。

「契約の解除」と「瑕疵問題」については、不動産売却に関連するトラブルでもあるため、特に注意が必要です。

「契約の解除(ローン不成立による解除を含む)」に関するトラブルについて

住宅ローンを借り入れて不動産を購入する場合は、売買契約を締結する際に「ローン特約」を付けることが一般的です。

「ローン特約」が付されている契約では、住宅ローン審査で否決されたり、借入金額を減額されたりした場合に、売買契約を白紙に戻すことができます。ローン特約により白紙解約されると、売主側は受領した手付金を返還しなければなりません。

売却側としては、現金客やローン事前審査済みの見込客を優先したいところですが、タイミングによっては希望通りにならないことも十分考えられます。不動産売却に要する期間は、ローン特約による白紙解約など、買主側の事情によっても左右されますので、余裕をもったスケジュールで臨むようにしましょう。

以前には、買主の個人属性を判断して、住宅ローン審査で否決されることはないだろうと勝手な判断をした不動産会社が、「ローン特約」を付けないまま売買契約を成立させて、大きなトラブルになった事例があります。売主にとっては、ローン特約自体は不利なものですが、裁判等に巻き込まれ、トラブルが長期化するリスクを考えると、通常通り設定しておく方が安心です。

「瑕疵問題」に関するトラブルについて

瑕疵(かし)担保責任とは、不動産売買において、土地建物に不具合や欠陥があった場合、売主が損害賠償などの責任を負うことをいいます。売却後も責任を取らなければならないので、不動産取引を行う売主は注意したい点の1つです。

瑕疵担保責任の対象となる瑕疵には、「物理的瑕疵」、「法律的瑕疵」、「環境的瑕疵」、「心理的瑕疵」の4つがあり、詳しくは下記のような項目が該当します。

  • 物理的瑕疵:雨漏り、シロアリ、家の傾き、土壌汚染、地中障害物など
  • 法律的瑕疵:法令等の制限による使用収益の阻害など
  • 環境的瑕疵:騒音、振動、異臭、日照障害、反社会的組織事務所など
  • 心理的瑕疵:自殺、殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故など

従来、民法では「瑕疵担保責任」について規定されていましたが、2020年4月1日の民法大改正により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変更され、目的物の補修等を要求する「追完請求」、代金を減額する「代金減額請求」が新たに追加されました。

契約不適合責任は、売主買主双方の合意によって内容を変更できる任意規定になっていますので、実務上では、売主は引き渡しから通常3ヶ月間、契約不適合責任を負うと定めることが一般的になっています。また買い主の同意を得られれば、契約不適合責任を一切免責することも可能です。

しかしながら、売主が瑕疵の事実を知っていたにも関わらず、買主側に告知しなかった場合は、売買契約書で免責が規定されていたとしても、契約不適合責任を免れることはできないので、十分注意しましょう。

不動産売却にあたって、売主には建物の状態を正確に把握しておく義務があります。特に戸建売却の場合は、懸念される項目が多岐にわたることもあり、売り出し前に専門家による建物調査(インスペクション)を行ってもらうことをおすすめします。 瑕疵がある場合は、「補修をした上で売却する」または「瑕疵の内容を予め表示した上で現状のままで売却する」のいずれかの方法を選択することになりますが、建物調査(インスペクション)済みであることが買主に安心感を与えると考えます。トラブル防止の観点からも、不動産売却の際は、建物調査(インスペクション)を検討してみましょう 。

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