売り出し価格を決める前に要確認!マンション管理の重要事項調査報告書について

不動産売却コラム

中古マンションを売買する際に、事前確認が必要なものとして、マンション管理の「重要事項調査報告書(重要事項に係る調査報告書)」という書類があります。

買主側が確認すべき書類と、一般的には認識されていますが、売主側もマンション管理状況を再確認するためにも、きちんと目を通しておきましょう。

今回は、マンションの管理状況を詳細に記した「重要事項調査報告書(重要事項に係る調査報告書)」について、見ていきましょう。

マンション管理の「重要事項調査報告書」とは

マンション管理の「重要事項調査報告書」とは、マンションの管理体制に関する情報が記載された書類で、マンションの管理方法や共用設備の使用状況、管理費・修繕積立金、修繕状況などが詳細に記載されています。不動産契約の前に宅地建物取引士が説明する「重要事項説明書」を思い浮かべる方が多いと思いますが、マンション管理の「重要事項調査報告書(重要事項に係る調査報告書)」は、記載されている内容が大きく異なっています。

「重要事項調査報告書」は、不動産仲介会社を通じてマンション管理会社に発行依頼することになりますので、早めに入手して管理状況を確認しておきましょう。

管理組合の金融機関からの借入額、修繕積立金の現状、大規模修繕工事の予定などは、売り出し金額を決める際にも重要なポイントなります。

「重要事項報告書」に記載されている項目はおおむね下記の通りです。

  • マンション全体の修繕積立金総額
  • 管理組合の金融機関からの借入額
  • 依頼主の管理費や修繕積立金
  • 上記の滞納額
  • 共用施設の費用や滞納額
  • 管理組合全体の収支(管理費や修繕積立金の滞納額含む)
  • 管理費や修繕積立金の増額予定
  • 竣工年次や共用部分の修繕実施履歴
  • 大規模修繕工事の予定の有無
  • マンションの管理体制
  • 共用施設(駐車場やバイク置き場など)の有無やルール
  • アスベスト使用調査や耐震診断実施の有無
  • その他(ペット飼育、フローリングの仕様等)

マンション管理規約と、一部内容が重なる部分もありますが、「修繕積立金の総額」「管理組合としての金融機関からの借入額」「管理費・修繕積立金の滞納額」などは、この「重要事項調査報告書」を見なければ、確認することができません。

「重要事項調査報告書」で確認すべきポイント

「重要事項調査報告書」には、マンション管理に関する重要な項目が記載されていますが、その内容も多岐にわたっており、一般の方がすべてを把握することは簡単ではありません。売主として、まずは下記のポイントについて把握しておきましょう。

「発行日」を確認

売主の場合、「重要事項調査報告書」が最新のものであるかを確認することが大切です。
古い内容が記載されている「重要事項調査報告書」を基準にして、売り出し価格を決めてしまうと、売却活動の途中に値引きを余儀なくされてしまいますので注意しましょう。

マンション管理の現場では、管理費・修繕積立金の滞納、設備トラブルなどが日々発生していますので、直近の日付の「重要事項調査報告書」を手に入れるようにしましょう。

「修繕積立金の総額」を確認

中古マンションでは、築15年、築20年などの節目の年に大規模修繕工事を行うことが一般的になっていますが、修繕積立金が不足していると予定通りに工事を行うことができず、マンション全体の資産価値を維持することが難しくなってしまいます。

また、大幅な不足がある場合は、修繕積立一時金の徴収があり得るため、買い手にとっては大きなリスクとなります。

「長期修繕計画」と照らし合わせて、修繕積立金が順調に貯蓄されているか確認することが重要となります。

「管理費・修繕積立金」の滞納額を確認

マンション全体で管理費・修繕積立金の滞納額が大きくなってくると、管理組合として金融機関からの借り入れが必要になる場合があります。

現実問題として、管理組合として借り入れを行っているマンションは数多くありますが、借入額が大きいと買主側の購入意欲に影響を与えてしまいます。売主側でも、事前に現状を把握し、きちんと説明できるようにしましょう。

「管理費・修繕積立金の値上がり予定」を確認

修繕積立金は、長期修繕計画に応じて値上がりしていくことになり、通常は5年程度の間隔で見直しが入ることになります。管理組合総会の決議を経る必要があるため、マンションによっては、値上げが可決されないケースもありますが、修繕積立金の不足は将来的なリスクとなってしまいます。

売主としては、管理状況に応じて売却予定を早める方が得策な場合ありますので、定期的に確認することも大切です。

「管理上のトラブル」を確認する

売却予定の部屋がいわゆる事故物件でなかったとしても、共用部分での事故が売却活動に影響を与えることもあり得ます。

売主側としては、買主からの質問にきちんと回答できるように準備することで、安心安全な取引をアピールしていきましょう。

近年では、気象変動の影響で「ゲリラ豪雨による冠水被害」を受けているマンションも増えており、機械式駐車場やエレベーターのメンテナンスに予定外の支出が発生しているケースがあります。また地震や火災による損傷があると、マンション自体の資産価値にも影響してきますので、定期的にトラブル状況を確認しておきましょう。

売却の際は、「重要事項調査報告書」を早い段階で入手し、マンション管理の現状を踏まえた「売り出し価格」を決めていくことが大切です。

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