不動産売却の媒介契約で後悔しないために確認したい6つのポイント

不動産売却コラム

不動産を売却するときは、不動産会社と媒介契約を締結し、買主の募集や売却条件の調整、売買契約の手続きなどを依頼します。媒介契約は、単に「物件の販売を任せる」ための申込書ではなく、不動産会社が行う業務、販売活動の進め方、契約期間、報酬、売主が守るべき事項などを定める重要な契約です。

このブログでは、媒介契約を結ぶ前に注意すべき点を6つのポイントに絞って、解説していきますので、売却を検討されている方は、ぜひご一読ください。

契約の種類と価格設定を確認する

媒介契約の種類が売却方針に合っているか

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。

一般媒介契約は、複数の不動産会社へ同時に売却を依頼できる契約です。専任媒介契約と専属専任媒介契約では、売却を依頼できる不動産会社が1社に限られます。

さらに、専任媒介契約では売主が自ら見つけた買主と取引できますが、専属専任媒介契約では、売主が買主を見つけた場合も、原則として媒介契約を締結した不動産会社を通して取引することになります。

主な違いは、次のとおりです。

  • 一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼できる
  • 専任媒介契約は、依頼先が1社に限られるが、自己発見取引が認められる
  • 専属専任媒介契約は、依頼先が1社に限られ、自己発見取引も制限される
  • 専任媒介契約と専属専任媒介契約には、指定流通機構への登録義務がある
  • 専任媒介契約と専属専任媒介契約には、定期的な業務報告義務がある

専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、不動産会社が売主へ業務の処理状況を報告しなければなりません。また、指定流通機構への登録期限は、専任媒介契約が契約締結日の翌日から7日以内、専属専任媒介契約が5日以内です。

一般媒介契約には複数社に依頼できる利点がありますが、依頼先を増やせば必ず売れやすくなるわけではありません。不動産会社ごとに広告の内容が異なったり、販売責任の所在が不明確になったりすることも考えられます。

契約の自由度だけで判断せず、誰に販売活動を任せ、どのように進捗を管理するかまで考えて契約の種類を選ぶ必要があります。

査定価格と売り出し価格の根拠が明確か

不動産会社から査定価格を提示されたときは、金額の高さだけではなく、その根拠を確認することが重要です。

宅地建物取引業者が売却価格について意見を述べる場合は、その根拠を明らかにしなければなりません。媒介契約を獲得するために高い査定価格を提示されても、その価格で売却できるとは限らないためです。

査定価格の説明を受ける際には、次の内容を確認します。

  • どの成約事例を比較対象にしたか
  • 売出事例と成約事例を区別しているか
  • 土地面積、築年数、方位、接道条件などをどのように評価したか
  • 現在販売中の競合物件をどのように分析したか
  • 提案価格で売り出した場合の想定売却期間はどの程度か
  • 反響が少ない場合に、いつ価格を見直すのか

査定価格は、不動産会社がその価格で買い取ることを約束するものではなく、売却価格を保証するものでもありません。売り出し価格を相場より高く設定すると、売却期間が長期化し、最終的に複数回の値下げが必要になることもあります。

重要なのは、査定価格が高いことではなく、価格の根拠が客観的で、売却開始後の見直し方針まで説明されていることです。

境界、接道、再建築の可否、共有持分、借地権、建物の不具合などが価格に影響する場合は、不動産会社の説明だけで判断できないことがあります。その場合は、土地家屋調査士、建築士、司法書士、税理士、弁護士などの専門家に確認が必要です。

販売活動と報告体制を確認する

具体的な販売活動が示されているか

媒介契約を締結した後の売却結果は、不動産会社が行う販売活動によって大きく変わります。

契約前には、「インターネットに掲載します」「広告活動を行います」といった抽象的な説明だけではなく、掲載先、実施時期、広告内容、他社への情報提供方法まで確認する必要があります。

主な確認事項は、次のとおりです。

  • 指定流通機構へいつ登録するのか
  • 自社ホームページへ掲載するのか
  • どの不動産ポータルサイトを利用するのか
  • 既存顧客や購入希望者へ紹介するのか
  • チラシや周辺地域への告知を行うのか
  • 写真撮影や間取り図の作成を誰が担当するのか
  • 広告文や販売図面をどのように作成するのか
  • 他の不動産会社からの問い合わせや内覧依頼にどう対応するのか

専任媒介契約や専属専任媒介契約では、指定流通機構への登録が義務付けられています。しかし、登録するだけで十分な販売活動になるわけではありません。

購入検討者が最初に見るのは、物件写真、間取り図、価格、物件概要、周辺環境などの広告情報です。写真が少ない、説明が不十分、物件の長所が整理されていないといった状態では、物件情報が公開されていても、問い合わせにつながりにくくなります。

また、媒介契約を結んだ不動産会社が、自社で買主を見つけることだけを優先し、他社からの紹介に消極的であれば、購入希望者へ情報が届く範囲が狭くなるおそれがあります。

契約前には、広告の掲載先だけでなく、他社との連携方針や、購入希望者から問い合わせが入った際の対応方法まで確認しておくことが重要です。

販売状況の報告内容と連絡体制が整っているか

売却活動を適切に進めるためには、不動産会社からの定期的な報告が欠かせません。

専任媒介契約と専属専任媒介契約には法律上の報告義務がありますが、規定された回数の連絡があるだけでは、必ずしも十分とは限りません。

売主が売却方針を判断するためには、少なくとも次のような情報が必要です。

  • 広告の掲載状況
  • ポータルサイトや自社サイトでの閲覧状況
  • 不動産会社からの問い合わせ件数
  • 購入希望者からの問い合わせ件数
  • 内覧の実施件数
  • 内覧後の感想や購入を見送った理由
  • 近隣の競合物件や新規売出物件の状況
  • 今後の販売方針と改善策

「問い合わせはありませんでした」「引き続き販売します」という報告だけでは、なぜ反響がないのかを判断できません。

閲覧数が少なければ、広告の掲載方法や情報量に問題がある可能性があります。閲覧数は多いのに問い合わせが少なければ、価格や物件条件が購入希望者の期待と合っていない可能性があります。内覧が多いのに申込みに至らない場合は、室内の状態、価格、引渡し条件、競合物件との差などを検証する必要があります。

契約前には、報告の頻度だけでなく、報告方法、報告項目、担当者が不在の場合の連絡先、問い合わせへの回答速度なども確認しておくべきです。

費用と契約終了時の条件を確認する

仲介手数料と追加費用の条件が明確か

不動産の売却が成立すると、不動産会社に仲介手数料を支払います。宅地建物取引業者が受領できる仲介手数料には、宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣告示によって上限が定められています。

媒介契約を結ぶ前には、仲介手数料について次の事項を確認してください。

  • 仲介手数料の具体的な金額
  • 消費税を含む総額
  • 支払い時期
  • 売買契約時と決済時に分けて支払うのか
  • 売買契約が解除された場合の取り扱い
  • 特別な報酬条件が設定されていないか

仲介手数料とは別に、追加費用が発生する場合もあります。

通常の広告活動や指定流通機構への登録などは、一般に不動産会社が仲介業務の一環として行います。一方で、売主が通常の販売活動を超える特別な広告を依頼した場合や、遠隔地への出張を特別に依頼した場合には、売主が実費を負担することがあります。標準媒介契約約款でも、依頼者が特別に依頼した広告料金や遠隔地への出張旅費について、依頼者が負担する旨が定められています。

追加費用については、「必要になった場合に説明する」という扱いにせず、契約前に次の点を確認します。

  • 通常の仲介業務に含まれる広告の範囲
  • 有料広告を利用する場合の金額
  • 測量、建物調査などの費用負担
  • 遠隔地への出張費が発生する条件
  • 売主の事前承諾なしに費用が発生しないか
  • 費用を支払った場合の明細や領収書の有無

測量、境界確定、建物状況調査、登記、税務、解体などは、仲介手数料とは別の費用です。

契約期間と解約条件が明確か

媒介契約を結ぶ際は、契約の開始日だけでなく、有効期間、更新方法、中途解約、契約終了後の取り扱いまで確認する必要があります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、3か月を超えることができません。3か月を超える期間を定めた場合も、法律上は3か月とされます。更新する場合は、契約期間の終了時に売主から申し出る必要があり、契約締結時に自動更新を約束することはできません。

一般媒介契約については、専任媒介契約と同じ法定の期間制限はありませんが、国土交通省の標準媒介契約約款では、3か月を超えない範囲で期間を定める形式が採用されています。

契約前には、次の内容を確認してください。

  • 媒介契約の有効期間
  • 契約更新の方法
  • 更新時に販売条件を見直せるか
  • 売主から中途解約できる条件
  • 不動産会社の契約違反があった場合の解除条件
  • 売主の契約違反に対する違約金
  • 販売活動に要した費用の償還条件
  • 契約終了後に買主と取引した場合の仲介手数料の扱い

専任媒介契約や専属専任媒介契約の期間中に、売主が別の不動産会社へ依頼した場合や、契約上認められていない方法で買主と取引した場合には、違約金や販売活動に要した費用を請求されることがあります。

一方、不動産会社が指定流通機構への登録、販売状況の報告、誠実な販売活動などの契約上の義務を履行しない場合には、売主が契約を解除できることがあります。標準媒介契約約款にも、契約上の義務違反などを理由とする解除条項が設けられています。

解約を検討する場合は、口頭だけで意思を伝えるのではなく、契約書の条項を確認し、書面や記録が残る方法で通知することが重要です。

違約金、費用償還、契約終了後の直接取引などについて契約書の内容を判断できない場合は、宅地建物取引士や弁護士などの専門家に確認が必要です。

まとめ

媒介契約を結ぶ前に確認したいポイントは、次の6つです。

  • 媒介契約の種類が売却方針に合っているか
  • 査定価格と売り出し価格の根拠が明確か
  • 具体的な販売活動が示されているか
  • 販売状況の報告内容と連絡体制が整っているか
  • 仲介手数料と追加費用の条件が明確か
  • 契約期間と解約条件が明確か

媒介契約書を受け取ったら、その場で署名するのではなく、契約内容、販売計画、報告体制、費用、解約条件を一つずつ確認してください。不明点を残さず、売却方針を具体的に共有できる不動産会社へ相談することが、納得できる売却につながります。

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